どうしてこうなったのか。












簡単に言えば、失敗したのだ。しくじった。ミスした。反応が遅れた。それだけのこと。
だってしょうがないじゃない街を歩いてたら急に襲い掛かってくるなんて思ってもなかったんだもの。気づいたら周囲一キロが封鎖されてて一般人が追い払われてて、周囲一キロ以内には一般人じゃない黒服しかいなくて全員が拳銃持ってて私とミサカちゃんを狙いにくるだなんて、誰が思うだろう。私たちが入った店を中心に、一キロ。どの報告に逃げても、一キロ。ああ私たちはただ、買い物にきただけだったっていうのに。6時ぐらいには帰るよ、と一方通行に言って出てきたというのに。どうしてどうして。ああ怒っているだろうなあ、彼。ごめんね。ああもうどうして。どうしてこうなってしまったんだろう。
店を出る頃には夕方だったのに、今ではすっかり辺りは夜闇に包まれてしまっている。寒い。3月とはいっても、夜は寒い。
( こんなたくさんの理由で早めに、暗くなる前に帰ろうとしたというのに、台無しだ。このやろう。 )寒いと感じるのは、薄着のせいだけではないだろう。私の腹部からは、赤い血がどくどくと流れていた。私はもともととある施設で実験材料にされていたから、ある程度の傷はすぐに治るようにはなっている。ただしそれは、アドレナリンが出てるとき限定なので、ようするに、今は、治らない。痛いなあ。


打ち止めちゃんを抱えて走って、1キロ先-----つまり、民間人がいるところまで、逃がした。それまでは、よかった。ミサカちゃんが一方通行の家にたどり着くまでの逃げ時間を稼ぐために、別の方向に走って、(刺して)逃げて、(撃って)走り回って、(殺して)逃げていた。
終わったと思って気を抜いた瞬間に、撃たれたらしい。多分もう相手に意識(命も、かもしれない)はなかったから、多分、偶発的なものだ。

傷は案外深いから、帰りどうしようかなあ。と思って、その場から離れる。
上着で一応傷口を縛り付けておいて、歩き出す。
辺りが暗いこともあって、道行く人は少ない。私に気づく人も、いない。


(なんで、)


(あのふたりを、そっとしておいてくれないんだろうなあ)


学園都市は監視カメラの網が張り巡らせてある。だからあのこともきっと全部、上層部が知ってのことなのだ。





打ち止めちゃんは、・・・ミサカちゃんは、無事にたどり着いただろうか。
血が、血が
困ったな、案外深いみたいだ。意識が、霞む
手で傷口を触ってみると、べっとりと血がついていた。ああ、これは困った。


「あくせら、れーた・・・」


目の前に、黒い服が、立ちふさがった。ああなんてこの世界は優しくないんだろう。   「おい、テメェ、なにくたばってやがる」 そんな声が聞こえた気がした。

   幻聴、


            か 
                 な




アク   セ
       ラ

      れ




死神も驚く冷酷非道さよ

(次に目覚められるのは、いつで、どこだろう。)

(わかっている。どうせこの世界は、私を死なせてはくれない)



続きます 次こそは一通さんでます
タイトルはバニラレバ様からお借りいたしました。