こいつは、目覚めた先を、天国と認識するのか。
それともここは、こいつにとって地獄なのか。






眠っていたが、ようやく、目を開ける。
数回瞬きをしたあと、確認をするように、オレを見る。

「起きたか」  「あくせら、れーた?」

まだ意識がはっきりしていないようで、目を開いてはいるが反応が鈍ィ。しかも微妙に目が潤ンでやがる。そのまま体を起こそうとしたので、肩を押してそのままベッドに倒しておく。「寝とけ。まだ熱が下がってねェ」そう言うとコイツは自分の手で熱を測ろォとでもしたのか、自分の額にもっていくが、「別に熱くない、よ?」そんなことを言うものだから、オレは思わず「手が熱ィからだろォが」悪態をついて、の手に触れる。「冷たいっ」「だろ」「いやもともとじゃないの」 …ああ、熱い。オレはもともと体温が低いほうだが、の手はそれにしても、すごく熱かった。ああでも、気持ち良い。


「よかった、無事だったんだね」
「・・・あァ。お前のおかげでな」
「失敗はしたけどね。自分が逃げそこねた」

そんなことを言って不服そうな顔をするので、こつん、と額のコメカミを小突いた。グーで。
。オレが、どンだけ、お前を、心配したか わかってンのか。



打ち止めが急いで、(しかも泣きそうな顔をして、だ)部屋に駆け込ンで来たかと思えば、「ちゃんが」と本気で泣き出す。泣き続ける打ち止めからどうにかの居場所を聞き出してそこへ向かえば、アイツはオレの前で気を失いやがるし、抱き上げてみれば腹から血が流れ出てやがる。
「なにしてンだよ・・・」とかダセェ言葉が口から漏れて、勿論返事は返ってこなくて、死なないでくれなンてらしくないことを考えながらにキスして、( 勿論、血の味しかしなかった )の応急処置と、できる限りの加速と家に着いた頃には、もう日が変わっていた。4月1日の嘘だと、いって欲しかった。だから、ひたすらオレは、コイツが目覚めるのを、待っていたンだろォなァ。



「一方通行、隈できてるよ」
「・・・寝てねェンだよ。悪かったな」
「いっしょにねる?」
「はァ?」

いきなりなにを言い出すンだこの女は。

「いや、あの、やらしい意味じゃなくて」

・・・わかってるッての
二人分の体重がかかって、ベッドがギシリと軋む。
「オイ、そっち寄れ」「あっ、…はい」が驚いた顔をして体を引いた。ベッドの上の開いたスペースに体を捻じ込む。

「病人に手ェ出す趣味はねェよ かわりに」


あァ らしくねェ。本当にどうかしてやがる。オレも、オレのことを好きだというこの女も。そうはいってもしかたねェんだ。もう離れられないほどに、恋焦がれちまってる。どうしようもないぐらいに。なァ、







「オレから、離れンじゃねェぞ」




赤い顔を更に赤く染めて、がしっかりと頷いたのをみて、目を閉じる。




拝啓、愛すべき明日へ

( 奪わせねェ )( 約束を破らせようと邪魔するとでも言うンなら )( 死神も絶望も押しつぶしてやる )



そうしてまた、私は終わらずに生きていくのだろうと、ふと思う。
でも一方通行とミサカちゃんがいる限り、リタイアなんて考えない。「ありがとうね、一方通行」 体を起こして彼の瞼に、口付ける。


全部共通なんですけど一方通行と書いてアクセラレータと呼んでるつもりです。
ミサカちゃんは病院で念のため検査中 ということにしておこう・・・ タイトルはバニラレバ様からお借りいたしました。

2010 4.1