は変わり者である。


俺にとっての第一印象は間違いなく"変なヤツ"だったし、それは多分これからもかわらねェ、と思う。それは俺についてくるという時点でも変わっているし、それに自身の性格というか、雰囲気というか、性質、とでもいうべきなンだろォか。あの"幻想殺し"とか"グループ"とかその辺の一般人とも普通に話してるときでさえ、何かが----------ズレている。
普通に笑うくせに。
普通に怒るくせに。
普通にはしゃいで普通にイラつくくせに。
アイツの場合は、泣きは、しねェけど。

・・・話は変わるが、類は友を呼ぶという言葉もある。
周りにいる"友人"ッてのがソイツを表すという話もある。
俺の場合自分に友人とかいうモノが存在しないのでそもそもそンな話に興味は無かったが-----俺は、それは真実だと、今日一日を見て、否応無しに、確信した。

は、間違いなく変わり者である。







この世界とやらにきて、最初に与えられた選択肢がそもそもおかしかった。

「監禁されるのと脳みそがパンクして死ぬかもしれないのとどっちがいい?」
「バカじゃねェのかてめェッ・・・!?」



どうやら、の話では、"他世界独自の・・・たとえば魔法とかの知識を何らかの拍子に知ってしまうと、要するに死ぬ" らしい。
それはお断りだったが監禁はもっとお断りだったので、とりあえずもう一度「バッカじゃねェの」と言っておいた。

「まあ、この世界の人間は超能力とかもってないから、その話はしないようにね」
まあどのみち超能力この世界じゃ使えないみたいだし、言っても寒い目で見られるだけだろうけど。と、あっけらかんと言う。相変わらずだった。

でも、そうだな。
コイツの傍は、居心地はいい。




だからこそ。
今のような瞬間には、軽くイライラする。



「どうしているんですかお兄さん」
「それはこっちのセリフだぜちゃんよぉ。元気だったか?」
「元気ですよ。今まで別世界ぶっ飛んでましたが・・・ってちげぇ!なんで真昼間っからうろついてるんですか?まじで」
「待ち合わせ中なんでな」
「せめてモスとかミスドとかで待ち合わせしろや!」

目を引くんですよ人識君は!とが叫んでいる。
確かに目を引く。
俺と同じような色(別に狙ったわけではないが)をした髪に、まだら色が入っている。背は低め。右耳に三連ピアス、左耳に携帯ストラップがついている。どンなセンスだ。何より目を引くのは、顔面半面にある、大きな刺青だ。それが圧倒的に見た目を一般人と離れさせている。見た目だけなら一般人なと並ぶと、尚更だ。ナニモンなんだ、と思うが、当然ながら俺は知り合いじゃねェから、黙っているしかねェ状況ということだ。しばらく待つしかないだろォが(なんせコイツは感動の再会中だ)、それにしても、暇である。


「っていうか待ち合わせって相手誰ですか、そんなお友達がいたことに私は吃驚仰天なのですけれど」
「あ?もよく知ってるヤツだよ」

待ち合わせ時間は過ぎてっけど、まあそんなことだろうと思ってたからよ。
なんだかんだで相変わらず人識くんが人識くんで安心しましたよ私は。
意味がわからねぇよ。俺は真面目な元優等生だぜ?
それ何年前の話ですか?ビックバンより前ですか後ですか ところで待ち人が誰なのかいい加減教えてくれないと私ここで暴れだしてしまいそうです
あのさちゃん今まで一切聞く素振りなかったってのになんでいきなりそうなるんだ?俺か?ちゃんの思ってることに気づかなかった俺が悪いとでもいうのか?そうなのか!?
女心わかんねーとか最低だな人識くん
じゃあいまちゃんの考えてること当ててやんよ!『お好み焼き食べたい』だろ!わかってんだぜ!
ばかだろあんた


こいつらが話しているからこそ、雑踏をバックグラウンドに聞きながら、俺は考える。こいつは、は、


----------ここにおいて行くべきなんじゃないか、と。


だったら俺だけで戻る方法を考えなきゃいけねェ。でも、どうやって。の知識は確実に必要だということだけは、よくわかっている。


「--------」



さて、どうすっかな。



何秒かそうしている間に話が終わったらしく、が俺の前に戻ってくる。

「じゃあ私はこれで失礼しますよ。ああ、哀川さんによろしくお願いしますね」
「会ってかねえんだな?」
「ええ、彼もいますし。このままノリで殴りこみとか行くことになったら洒落になりません」
そういっては俺の腕を掴みながら、笑う。

ああでももし、と続けて、



「戦争になったら、どうぞ遠慮なくお呼びください。地獄の果てからでも駆けつけて、殺して解して並べて揃えて晒してやりますよ」
例え本当の零崎じゃないとしても、私たちは家族でしょう。と。

ぶっ飛んだことを言いながら、短めのスカートを軽く摘まんで、芝居掛かった風にそう言っては、恭しく礼をする。

「ちゃんと大事にしねぇと俺が許さねぇからな、白髪のニーチャン。まあコイツとんでもねぇやつだけどさ」
「ばかなこといわないでくださいバラしますよひとしきくん」

そんなことを言いながら、本当に楽しそうにが「行きますよ一通さん」とぐいぐい腕を引きやがる。
背中から痛いほどの視線が突き刺さる。だから俺は、首だけで後ろを向いて、口パクで





あ た り ま え だ






わかったのかわからなかったのか。
人識と呼ばれたやつは、俺を見てニヤリと笑って、手を振った。
アイツは人間にして人間じゃない、なぜか、そんな気がした。


まだまだ、昼前のことだった。







間失格

「あ、今一方通行が着てる服って私のとあとアイツのだから」
「・・・脱いでいいか?」
「公然わいせつ罪で逮捕されたいなら、どうぞ」





一通さん一人語りってすごくさせにくいことがよくわかった。