「どォいうワケだ」
「そのままの意味だ」
銃口はまっすぐ一方通行の眉間に。
人差し指は――――――引き金に。
「私のために死ねますか、って聞いた」
意味がわからない。
なにいってンだこいつ。
一方通行は眉を顰めることもなく、硬直する。
今まで生きていた年月と、打ち止めとに出会ってからの年月を比べれば、圧倒的に、前者のほうが長い。
ただ。
一方通行にとっては、後者のほうが-----ずっとずっと重要で、ずっとずっと大切だった。
それを一緒に生きた彼女が。
どうして俺に銃を向ける。
( 俺を試してることは間違いねェ )
( ただ )
( こいつは今、どォいうワケか、どこかが吹っ切れている )
死を厭わないのではなく。
殺すのを厭わない、というのもまた違う。
「答えは"ノー"だ。こンな所で死ねるかよ。テメェだってわかってるだろ」
「―――」
銃口が、降りる。
「上出来。」
一瞬で笑顔を取り戻すを不審げに、見て。
「何がしたかったンだ、お前は」
「向こうに戻っても、ちゃんと打ち止め守ってあげるんだよ」
「・・・あたりまえだ。お前は守ンなくても、平気だろォが」
「まあね」
ぱちぱちぱち、と、後ろの男が、拍手をした。
「もういいんじゃないか。君の覚悟も本物だが、彼の覚悟も本物だろう」
「うん。じゃあ、そういうことで、よろしく」
男が目を隠していた布を外す。男はまだ目を閉じている。
「一方通行」
が声をかける。
「なンだ」
一方通行が、男を見たまま返事をする。
男がゆっくりと目を
「悪いけど、戻った世界に私はいないと思うから。」
開ける。
目が合う。
目が合う。
吸い込まれる。
一方通行は、の言った言葉を理解し切る前に
意識が、引きずり込まれた。
さよなら