異世界からきた私にとって、この世界で一番最初にやるべきことは、居場所を作ることでした。
『あんただって私のことなにも知らないくせにっ!!』
そういって、思い切り彼をひっぱたいて飛び出してきてしまったのが、今日の朝9時(土曜日)のことである。
A.M. 11:38
「っていうことだから、よろしく」
「いや全然わかんねーし!」
ということでわたくしは上条くんのアパートに(勝手に)上がりこんでいるわけだ。実に彼は良心的な好青年だ。うんうん。
「よしインちゃん今日のお昼は私が作って差し上げよう!なにがいい?」
「ほんと!?じゃあオムライスがいい!」
おいこらそこ!勝手に打ち解けんな!という上条くんの抗議が聞こえた気がしないでもないけどインデックスちゃんが可愛いから別になんでもなかったということにしようと思います。ぴょこぴょこと白い修道着(っていうのかな?)がスプーンとフォークを持って楽しそうに飛び回るのをみて渋々承知してくれたらしく、上条くんも「昼飯食ったら帰るんだぞ!」と言ってくれる。「あっはそんなこと言っていいのかなー上条くん。ご飯作るのはわ・た・し☆」「・・・!お前材料俺んちの使うんだろ!?俺のも作るよな?な!?」「えーどうしよっかインデックスちゃん」「どうしよっかー。とーまいじわるだもんねー」「ねー」「ちょっちょっインデックスさん!?さん!?ヒドくない!?ヒドくないですかーっ!?」
A.M. 12:49
「ごちそうさまでした、っと」
「はーおいしかった!のごはんおいしいねーっ!」
「ほんと?気に入ってくれたみたいでよかったよー片付けお願い上条くん」
「なんで俺なんだよ!?」
「ご飯作ったもの」
「ご飯食べたもの」
「はともかく、インデックス!お前食っただけじゃねえか!」
勝手に上条くんのベッドでごろごろしながら笑うと、上条くんは呆れたようにこちらを見下ろしている。少しの間彼と見つめあっていると、彼はため息を一つついて「片付けは俺がやるから、終わったらなにがあったのかちゃんと話すんだぞ」困ったように笑った。
インデックスーちょっと手伝え と上条くんはインデックスちゃんを呼んで、洗い物の積み重なった
台所に消えていく。
( ああ、本当にやさしい人だ )
インデックスちゃんのものであろう小さな枕に顔を押し付けた。(勿論勝手に)
最初は些細な口論だった。
それが発展して、発展して。
そんなに心配ならもっとミサカちゃん(勿論、打ち止めと呼ばれる方)のこと考えてあげなよ、と言い。
テメェに何がわかるんだ、と言われて。
売り言葉に買い言葉。
冒頭の言葉を叫んで真っ白な彼を引っぱたいて、今に至るのである。
P.M. 13:18
カチャカチャという食器の音が消えて、コックをひねる音の直後に台所からの水音が消える。しかしまだどこかから、ぱたぱたという音が聞こえて、顔を上げる。上条くんも気づいたらしく、窓の外を見る。
「あれ、、雨降ってきた」
「だねえ。どうしようか」
どうしようかっておまえ、上条くんが言う。
「結局のこと、私はずるいんだよねえ」
ミサカちゃんに気を使ってなんて言って 結局は、自分があの人に、一方通行に気にかけてもらいたかったっていうそれだけのこと。
そんなことを考えながら上条くんに今までの経緯を話すと、上条くんは真面目に聞いてくれた。
(ただし一方通行を引っぱたいたっていうところでは「さすがあの彼女」って。ちょっと笑ってた)(ちなみに異次元要素使ったビンタだったから反射はありませんでしたさすが私)
(そしてインデックスちゃんは正座して聞いてたけど結構退屈そうだった。ごめんね)
P.M. 13:52
「結局のところさ」
上条くんは私の目を見てあぐらをかいて、床に座っている。
「は一方通行のことが好きなんだったってことだろうよ」
「・・・改めて言われるとなんか恥ずかしいよかみじょうくん」
「ほんとにあいつが心配してないと思うならしばらくここにいてもいいけどな、俺だったら、心配するぜ?」
「・・・」
その言葉で、私の心は決まった。
なんて正論を言うんだろう。この主人公は。(私もこの人みたいにまっすぐになりたかったよ)
P.M. 14:30
「・・・うん、ここまででいいや。ありがとうね上条くん」
「どういたしまして。傘、今度会ったときにでも返してくれればいいから」
「うん。ありがとう」
帰路の途中で上条くんに別れを告げる。
ああああ足が進まないなあと思いつつゆっくり歩いてると、上条くんが背中をぽん、と押して「頑張れ」といってくれた。なんていい青年なんだ彼は。御坂さんが惚れるのもわかる気がするよ、うんうん。
ぱたぱたと歩くたびに跳ねる雨粒が私の足を濡らしてく。冷たいなあ、この時期の雨は。とか考えながら顔を上げると、それより寒そうな、白い奴が、階段脇に立っていた。
彼は、一方通行は、ゆっくりと顔を上げて私のほうを見た。
「・・・か?」
「かって・・・な、何してんのあんたバカじゃないの!?」
コートがじっとりと濡れて、顔色は(いつものことだけれど、それ以上に)悪い。
「いつから、ここに」
「・・・忘れた」
一方通行が私の手首を掴む。
冷たい。
ひやりどころじゃなくて、冬場の冷えた手みたいに、つめたかった。
彼は上を見上げて、今やっと雨に気づいたかのように、して、
「雨いつから降ってたンだ?」
「一時間ちょっと前、だよ」
「あァ、気づかなかった」
「あ、雨に気づかなかったって・・・!」
「それどころじゃなかった」
「え、」
「お前のこと考えてたから、それどころじゃなかった」
そのまま私の手を頬に持っていって(やっぱり、冷たい)なんでそんな顔をするのか私にはわからないほどに、安心したような顔をして、「あったけェな、お前の手」
結論:君の隣
「冷たいんだけど」「じゃあ次からもっと、早く来い」
(自分勝手で俺様で。)(でもやっぱり、すきなんです)
途中までどうみても上条くん夢です本当にry
彼も大好きです。はい。