「みんなもいつか消えるのかな」
そんなことを言い出したのは、だった。
逃げた先の屋上。夕焼け。外には今日も元気に部活動に励むNPCたちが見える。
「まあ、ここの生活も確かに楽しいけどさ・・・ずっと留まるっていうわけにもいかないのかもしれねーよな」
「そのための場所ではないだろうし、ね」
「・・・だからって何か動こうっていう気にも、なれないけどな」
そう肩をすくめれば、は笑って「だから音無くんが来たんでしょう」とか言う。
「ってさ、音無のこと、好きなの?」
「どうしてそうなった」
「いや、・・・なんとなく。すげえ気にかけてる感じだったからさ」
「人としては好きだよ」
「俺は?」
「音無に同じ」
「はははっ、・・・そっか。じゃあさ、」
心の中で残念そうに舌打ちをしながら、日向はに向き直る。
「いつか消える時が来たとしても----」
「うん?」
「また、会えるといいな」
とびきりの、笑顔で。
「そうだね、じゃあ合言葉でも決めようか」
「あ、それいいな!合言葉はじゃあどうすっか」
「"天使ちゃん"ときて"マジ天使"」
「いや、その言葉どっから出てきた」
「じゃあ"激辛"ときて”麻婆豆腐"」
「合言葉としてきまらないなそれ!」
「じゃあ日向は何がいいのさ?」
「え!?ここは過去に習って"山"と"谷"とか・・・」
「なにそれおもしろくない・・・っていうかありきたりすぎて、誰でも返せそうじゃない?」
「でも"天使ちゃん"とかもし人違いだったらすっげえ恥ずかしい気がする」
「・・・確かに」
「そうだなあ、じゃあこういうのは-----------」
きっとこれも、消えるための階段の、一段。
08. いつの日か