あああ、お腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいた
まさか満腹になって成仏!なんていう死因:餓死みたいな死に方はしてない筈なので、私は大人しく授業時間から、食堂に向かうことにしたのである。今日はなに食べようかなーかなー麻婆豆腐は無しとして、券売機の前で考えること、10分。
「おばちゃーん月見うどんちょうだーい」
「あんたまだ授業時間だろう!授業はどうしたんだい?」
「私がそんな真面目っ子に見えますか?いや、無い」
「反語表現とは随分だねぇ・・・まあいいや、はいお待ち」
「やったーありがとーおばちゃーん」
ずるずるずる
あーうまい
閑散とした周りを見ながら、私はうどんを啜る。
すごく美味しいというわけではないが、一般的程度には美味い。
「なあ、前いいか?」
「?」
視線を上げると、赤い髪が目に入る。
口に入っていた分を咀嚼して飲み込んで、
「どちらさま?」
と尋ねる。あーどこかで見たことがある気がする。この前敵対してたときにいた子だっけっかなあ。
「えーと、俺は音無」
「音無君か。なんでこの時間に?そんでこの席に?」
閑散としている、つまり他には空席は大量にあるという意味だ。そんなことを思いながら彼の返答を待っていると、彼は笑いながらまず第一の質問に答えてくれた。
「そんなこといったら、あんただってそうだろ」
「私は模範的生徒じゃないからねー。じゃあ、第二の質問に答えてもらおうか」
「え、だっておまえ、NPCじゃないんだろ?」
「ああうん、そのとおりです」
普通に話し続けていたら、音無君は前の席に陣取ってオムライスを食べ始める。
「俺、あんたの名前聞いてない」
「ああそうだっけ。って言いますん」
「そうかそうか。・・・っていうか、あんた天使と一緒にいただろ?なんでこんな時間に飯食うなんていう悪いことしてんだよ」
「消えたくないからに決まってるでしょー」
つゆを口に入れて、飲み込む。
「ちょっとちょうだいー」
箸でオムライスを勝手につついて口に運ぶ
「あ、じゃあ俺も」
そういって音無君はスプーンを私の持ってるどんぶりに伸ばす。麺は見事に逃げて、ほんの少しのつゆだけがスプーンの中に残る。
「っくく、どうぞーっ」
「ち、ちくしょう・・・」
「そしたらゆりがさあー」
「あっはは、苦労してんねえ音無くん」
「だろー?この前も日向が・・・」
「え?じゃあ日向君はあんたのこれなの?」
「ちがう!断じて違う!」
「きゃっははは!照れんなってー」
お互いの食器が空になった後。
もうそろそろ授業が終わってお昼時になるだろうか。
混んでくる前に退散しようかなあと思いながら、後ろから嫌味ったらしくかつかつと近づいてくる足音に気づいて、私はその場のコップを手に取った。
「・・・君たち、休み時間中の食堂の利用は校則いは」
「ああ、そうですねっ!」
水をその場で、彼らに引っ掛けて。
椅子を彼らの方に蹴り飛ばして。
音無君の腕を掴んで、私は外に向かって、走り出す。
04. いまこの瞬間、私たちの自己主張