※学パロです☆





どんぱんどーん、と、花火の音が聞こえる。
何が楽しくて花火を上げるのか、私にはさっぱりわからない。いったい何が悲しくて、私たち生徒はゴールデンウィーク明け早々に、最初の試験を受けなければならないのだろうか。うーん、面倒だなあ。と私はいつもどおりに着崩した制服の袖で、ぱたぱたと顔に風を送る。あっちいなあ今日は。本当に春かよ。ああやだやだ。

ちなみに試験とはいっても実技試験、しかも2on2のバトルロイヤル一回戦勝負だ。
そう。
2on2なのである。
2on2なのである。
大事なことなので三回目まで言いました。

そのチームはいったいどうやって分けるかと言えば、端的に言って、成績順であり、聞こえ良く言うのなら私たちのような"無能力者"に対する救済措置とでもいえるのである。
嘘である。
私はそう聞かされたので学校に来たのである。
実際はそんなわけが無かった。


実際は、無能力者は無能力者で別メニューがある。
レベル0とレベル1には、越えられない大きな壁がある。だからレベル0の試験は、レベル0同士の対決またはペーパーテストによるものとされている。
・・・だから、この試験は大方レベル1とレベル4の人間、レベル2とレベル3の人間、という分け方でチーム分けされる。もちろんレベル5の人数はとても少ない上に"軍団と一人で渡り合える能力"とかいう分類らしいので、一人。

さて、問題です。



その中にレベル0が入ってしまいました。




これから私はどうなるのでしょう。





ちっちっちっちっち




正解は

「オイ」

レベル5と組まされました。しかもいつもの白い彼です。もうやだ泣きたい帰りたい

「落第してえンならそうしろ」
「心読まないでくださいよ。・・・っていうか何の間違いで!私が!ここにいるんですか!」
「知るか」
「ゴールデンウィーク中に私の運は尽きたんですね、わかります・・・」

首根っこを引っ掴まれて、わたわたと何とか歩きながら私はそんなことを嘆いたのであった。
めでたしめでたし。



なわけで終わるはずも無く。

運動場の一角で、対戦することとなったのでした。はい。
なぜ一方通行さんと私が組まされることになったのかといえば、所詮レベル0、足手まといと考えられたから、らしい。
うーん。
かったるいなあ。
っていうか、むかつく考え方だなあそれ。

そんなことを思いながら、随分と遠くに見えるギャラリーに目を向けて(もちろん巻き込まれないためだ)、私はいつものように獲物を構えようと、ってあ、

「武器持込禁止だっけ」
「あァ。一応超能力の試験だからな」
「あのあの私レベル0なんですけど」

一方通行さんのYシャツ(ブレザーは邪魔だから置いてきたらしい)(・・・あ、女子が群がってるあれか。一通さんなんだかんだでファン多いからなあ)・・・をぐいぐい引っ張りながら言うと、「伸びる」と言われて引き剥がされる。うわああの群がってる乙女たちに見せてやりたい。一通さんは女子に優しくないこんな人なんだぜ・・・?それでもいいのか・・・?って言ってやりたいきいいっ・・・・・・・あ、もしかして私が女子って思われてないだけか。災難。

「それはそれでなんか切ないな・・・」
「? なンか言ったか」

いろんなところにしまっていたナイフやら何やらを適当なところに除けて、そろそろ時間なので一方通行さんの隣に立つ。
ゴーグルだけは許されるだろうと思って、視界対策に付けて行く。(割と大きいけどね)
お相手はレベル4とレベル1のタッグだ。
数の足し算の上では両方とも"5"ではあるものの、なにしろ私の横にいるのは"学園最強"、一方通行だ。
ということはお荷物の私を先に消しにかかる・・・んだろうなあどうせ横にいる人私のこと護ったりしないよ・・、うわ、ちょうかえりたい。

「オイ、護ンねェからな」

いちいち言ってくれなくても知ってるよ!そんなことだろうと思ってたから!





、行け」
「待てあんたは何をする気なんだ」
「お前がボコられンのを見て楽しむ」
「何その鬼畜!最低!」

「あの・・・すいません、もう始めてもいいですか?」
私と一方通行がコント・・・じゃない言い争いをしていると、相手の方が申し訳なさそうにそう言ってくる。「あっ、ごめんほんとこいつが」「なンか言ったか」「言った!超言った!ほんとあんた仕事しろよ!」「うるせェな、お前が手本でも見せろ」「ああああもう私が一方通行さんとっつかまえとくからどうぞお好きにお構いなくやって!やっちゃって!」「はァ?バカじゃねェのお前」「痛っ!ちょっ反射とか無しだろ!まじ痛ったいなああもう!」「自業自得だ」


「じゃああの、遠慮なく。あの、私の能力は、」



空間移動です。とレベル4っぽい人が言った後、目の前に、----------------------人が現れた。

「!」
「えちょ、そうかテレポーターだと外からなんか持ってきてもいいのか!」
「そこかよ。俺のことにはツッコミ無いの?」
「ご無沙汰してますていとくん」
「せん○くんみたいに呼ばないでくれってこの前言ったよねちゃん!?」

そうでした。
呼び出されたのは、この学園に"序列二位"として名を連ねる--------------"未元物質"垣根帝督でした。
の帰りたい度が100上がった。
にしてもまずいなあ。
「3対2だね」
「3対1の間違いだろォが」
「あんたまだ私に一人で戦わせる気か!あたしが丸腰なの忘れてないよね?!」
「あ」
「忘れてたのかあああっ!!」
「あの、」お二人さん、そろそろおっぱじめてもいいのかな。ていとくんが苦笑しながら言ってきて、次の瞬間には、彼の能力である"暗黒物質"が、あたしの眼前に迫っていた。

あれに触れたらなんかいろいろと不味そうだと、一方通行を押しのけて、自分も避ける。受身を取る。武器は無い。だったら直接垣根を狙うしか方法は無いから、あたしは、つけていたネクタイを、飛び込みながらはずす。
狙いに気づいたのか敵の一人がこちらに向かってくる。反射的に足をかける。反動で自分も少しバランスを崩す。でもこれで一人は無効化したはず。地面に一度だけネクタイを持っていないほうの手をついて、また、走って、


熱い


背中が焼けるように熱い。反射的に目が開かれる。

でもそれも一瞬で消える。



垣根たちの近くで粉塵爆発が起きる。必要以上に傷つけてはいけないというルールから、爆発は直撃ではないらしい。あくまで、視界を遮る程度の爆発。舞い上がった砂が、土が、埃が、視界を遮る。

そのまま走り寄って--------------

垣根の首元を思いきり押して、少しだけスピードを緩めて、ラリアット。引き倒す。
そのまま残った一人の下に突っ込んで、私がつけていたネクタイを首に巻きつける。煙が晴れる。視界が戻る。垣根とレベル1の人(だった)は意識はあるものの地面に倒れ、残った一人には私のネクタイが首に巻きつき。

「降参してくれます?」

笑顔で言えば、こくこくと頷いてくれる。勝負あり、の声がどこからか聞こえて、それを聞いて私はネクタイを解く。
一方通行の方に歩いていけば、珍しく彼が立ってこちらを待っている様子。ああ珍しいなあ、と思いながら私は一方通行の元に向かう。
途中に、垣根が「やっぱ強ぇなあちゃん」とか褒めてくる。「お互いお疲れ」とこぶしを突き出せば、彼も「おう」といってそれに答える。「そういえば背中大丈夫か?悪ぃな、直撃させるつもりは無かったんだけど」「だいじょぶだいじょぶ」ぱたぱたと手を振るけど、やっぱり心配そうな顔を止めない。で、「背中見せて」と言って私を引っ張り、


「帰ンぞ、


反対側から、一方通行さんが私を引っ張る。

「終わっただろォが。お前は呼ばれただけだ。とっとと帰れ」
「ちょっと冷たくない?さすがにムカついた」
「ちょ、一方通行さ・・・」

浮いた。
足が浮いた。

抱え上げられてる。
一方通行さんに。


「ちょちょちょ、ま」
「てめェの出番はねェよ」
「のんびりしてっと奪っちゃうぜ?・・・ちゃん、ちゃんと保健室で見てもらうんだぜ」
「あ、はい」

なぁ、氷テレポートしてくれないか?とていとくんがへたり込んでたレベル4の子に言うと、その子はすぐに実行に移す。袋に入った氷が出てきて、ていとくんはそれを私の背中に当てる。
「ひょあぁっっ!つつつつめた」
「冷やしときな。・・・どうやって抑えておくのがいいかな」

一方通行が無言で氷をちらりと見て、次の瞬間には氷の袋が押し当てられたまま浮いている。

「・・・なんだ、ツンデレか?」
「うっせェ」
「・・・?」





ていとくんに背を向けて、一方通行が歩き出す。
私のほうからは少していとくんが見えたので、手を振れば、彼も笑って手を振る。

なんだかんだで一方通行は背中の傷に触らないように、私を担いで運んでくれる。軽く俵みたいな。俵みたいな。
でもその気使いが嬉しいなあ、とのんびり考えながら、私は保健室に向かっていった。
・・・その間は無言と思いきや、彼は意外にも私に話しかけてくる。

「しっかり働けたじゃねェか、俺のためによォ」
「べっ、別にあんたのために働いたんじゃないんだからねっ!勘違いしないでよっ!」
「叩き落としていいか?」

「すいませんでした」
「・・・・・・・・痛むか?」
「ん、ちょっとひりひりするね。多分ていとくんの未元物質で紫外線がどうにかされたんでしょ。火傷だと思うよ」
「そォか」
「うん」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「私のおかげで勝ててよかったねっ!」
「・・・・・・」
「・・・あのさなんか反応よこしてよ私が寂しい子みたいじゃん」
「なァ
「なんだいよ?」






「次はもっと上手く守ってやンよ」










まもる?なにを?え?あれ?
そう考えて、そういえば、紫外線ビーム(多分)をくらったときに、熱さがすぐに引いたのを思い出す。

「え、あれ、まさか」
まもってくれたの、このひと。






婉曲ベクトル



(「そォだな・・・怪我の責任とってやるよ」「え、どうやって?」「俺が嫁に貰ってあげるよ、ちゃん」「待ってどっから沸いたの、ていとくん」「はやらねェ」「へえ、上等だよ」「え、ちょ、なに第2ラウンドとかいわないよね・・・!?」)


(とりあえず、落第にはなりませんでした。結果オーライ!)(でもなんか前以上に一通さんが絡んでくるようになりました。カムバック日常!)


ゲスト出演 ていとくんでお送りいたしました。
彼のキャラがいまいち掴めてなくてあばばば

すごくたのしかったです