※戯言シリーズから四人ほど出張してます。
※名前だけBACCANOから一人ほど出てますが、気にしないでください。







ざあああざああああざあああ
叫ぶ。雨が。雨音が叫んでいる。耳のすぐ横で、雨音が地面に叩きつけられる音がする。ああなんで僕がこうなってたんだっけ。なんかにほんごおかしいきが、するけど、わからないわからないわからないわからないわからない。ああああ、
が、赤いかった、はずが、もう雨に流されて、なんだかわからない。

ぱちゃりぱちゃりと、新しい音が聞こえる。気のせいなのかな。ほんものなのかな。ぼんやりとそちらを見ていると、真っ黒いブーツがみえる。

「ねえ、なにしてるの君」


そんな声を聞いて、僕は意識を手放して、













「ななな、なんなんですかっその子、もしかしてちゃんのかくし・・・・」

「隠し子じゃないからね絵本さん。・・・とりあえず、様子見といてくれるかな。雨の中でぶっ倒れてたんだよね。怪我してるみたいだから診てあげてほしいんだ」
「・・・任せて。それなら私が診るから。」


「・・・おい、

「狐さん。ヒューストンに行ってたんじゃないの?」

「あれは誰の子だ」

「私の質問はスルーか。言っとくけど私の子じゃないからね。道で倒れてた子だからね」

「道で倒れてた・・・お前、鬼畜だな」

「私の話を聞け。あとあんたに言われたくないわ」



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再び、目を開ける。

「あっ、目、覚ました?大丈夫?痛いところとかない?」

眼鏡をかけた女性がこちらを覗き込んでくる。
ここは、と僕が呟くが、「そんなことより今は君の体のことを聞いてるんだよ、痛いところはない?」という医者の鑑のようなことを言って取り合わない。
体に以上が無いということを伝えて、ようやく医者は、
「お察しの通りここは私の診療所ですっ!さっきまではちゃんちにいたんだけど、そこじゃいろいろ設備が足りなくて、こちらまで運ばせていただきましたっ!あ、私は医者の絵本だよ!」と。それで君は?と続ける。

「僕は・・・」




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「・・・・え?記憶喪失?」

「そうみたい。倒れてた理由も分からないって。名前もなんか変わった通り名みたいなものしか・・・」

「じゃあが引き取るしかないな」

「そうだね、ちゃんが面倒見るのが一番いいと思う」

「おいまて何勝手に決めてんですか」


もちろん怪我が完治するまでは私のとこにいてもらうけどね。
そう言って絵本は可愛らしくウインクする。


「・・・だそうだけど、どうなのよ君」


白い髪をいた少年に問いかければ、彼は私の服の袖を引っ張って上目遣いでこちらを見る。なるほど、一応そういうことでいいということなのだろうか。


「大丈夫黙っとくから!ちゃんの実の子だってこと!」


もうそのネタはいいわ。



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「そんで、私は君のことをなんて呼べばいいのかな」

「・・・一方通行」

「アクセラレータか、うん、わかった」

「ねえちゃんは?」

でいいよ」

「・・・ねえちゃん?」

「いや、呼び捨てでいいよ」







どうせすぐに、君の見た目が私を追い越すんだろうからね。


--------その意味を、俺は、数年後に完全に理解することになる。








「一方通行さん、おかえりなさい」

「あァ。他のはどこに?」
「崩子は食事当番でキッチン、リカちゃんはとお話ししてたけどさっき出かけてて、真心は崩子の手伝いと見せかけて邪魔してます」
「そォか。は?」

「お仕事に行ったみたいです。潤さんに首根っこ掴まれて引きずられていきました。」

「ッてことはアイツは帰りは遅ェな」


ため息をついて、一方通行は靴を脱ぎにかかる。
キッチンで食事をする、崩子。
数年前に
「預かることになった」が唐突に連れてきた色白の少女。ナイフを使うのが上手くて、確か年齢が今14ぐらいだ。の友人と同じアパートに住んでいた兄妹のうちの兄が亡くなってしまって、結果として一人になった妹とのこれまた兄と妹がとある事件に巻き込まれて、それで親しくなったという経緯があるのだが、そのの兄妹が放浪ばかりしているので結局が面倒を見ることになったのである、というややこしくも難解なことがあった結果としての家に居候しているのである。


その邪魔をしているという、真心。
これもの友人の友人であって、ついでに自身の古い友人らしい。とにかく橙色である。年齢不詳。一人称が俺様。笑い方が
「げらげら」。三つ編み。特徴としてはそんなものだろうか。彼もまた、"任された"らしい。誰に、と聞いたが、「いーちゃんと狐さんがね」とだけ、言っていた。
一番落ち着きが無い。本当に落ち着きが無い。まあ他の三人が落ち着いているからこそ浮いて見えるのかもしれないが。


そしてリカ。
この子については謎しかない。
最年少であるというのに、時折、異常なほど、・・・真心より遥かに落ち着き払っている。かと思えば突然、年相応の振る舞いに戻るものだから、奇妙、である。


最後に。出迎えたのは六識。ろくしきとかいて"むいしき"と読む。男だ。
敬語。丁寧語。不思議な子。強い。とはとても仲が良い。というか、やたらと結束してる。
と一方通行が喧嘩をしたとする。そのときの反応を挙げるなら、崩子は大体言い分を聞いて、正しいと思うほうに加担する。リカは
「二人とも止めるのですよ、喧嘩は良くないのです」・・・対して六識だけは、必ずに味方するのだ。シスコンだ。・・・まあ、そんなところ、だろうか。



「ンじゃァ、先食うか。」



そんな子供たちとの共同生活。
8年ほど、一方通行はその子供たちととの奇妙な共同生活を続けている。一応は記憶が戻るまで、ということだったが、記憶の戻らないまま月日だけが過ぎて、今に至る。











「たっだいまー」

「姉さんが帰ってたようですね」


一番早く反応したのはいつもどおり六識だ。
誰よりも嬉しそうに、食事のために使っていたスプーンを半ば投げ出すように置いて、足音も立てずに玄関に走っていく。
仲が良くて嬉しいような、少しだけ、嫉ましいような。

黙々と作られた食事を口に運びながら、一方通行はそんなことを考える。母親にべったりな子供を持った旦那の気分と言うものはこんなものだろうか。

「六識は相変わらずなのです」

「いい加減姉離れしたほうがいいと思いますけどね」

「そんなこといって崩子だっていーちゃんにベッタリだったでしょ」


わん、とか言ったんだって?
部屋に入ってきたがからかうような口調で言う。
崩子は照れたように顔を赤らめて、背ける。
「それは言わないお約束です」「そんなお約束したっけ?」

もういいです、とぷいっと完全にそっぽを向いて、崩子が立ち上がっての分のご飯を用意しに向かう。


「おかえり」

「ただいま一方通行」


そう笑いながら、は一方通行の隣の席に座る。
8年。
8年経った。
一方通行は標準よりはやや細いが、ある程度立派な青年に。
一緒に住み始めたのが一番長い六識( といっても彼が来たのは5年程前で、3年間は完全にと一方通行の二人だった )は、小学生だったのが中学を経て、高校生に。

長い年月だった。
は、多分はじめて会ったときから、少しも変わらなかった。

「今日は崩子が当番だったんだね」

「あァ。いつも通り、だな。相変わらずピーラー使わねェでジャガイモの皮剥いてンだぜ」

「ナイフ使いが達者だねぇ。六識とどっちが強い?」

「俺のほうが強いですよ、姉さん」

「・・・現役の零崎と比べないでください」

「正論だね。じゃあどっちがナイフ使うの巧い?」

「崩子のほうが器用ではありますね」


崩子がことり、との前に食器を置く。

「慣れてはいますから。・・・もう苗字は捨てましたけれど」


その反応に対してにこり、とは笑って、
「六識も頑張るんだよー」と笑う。





そんな、毎日。


平和な日々だった。

------------崩れた。

当たり前のように、崩れた。心無く、崩れた。
違う。

前から崩れているのに、気づけなかった。俺が。


月のきれいな夜だった。





「うん、やっぱね、性に合わないわ」

「そうですか・・・姉さんも、放浪の旅にでも行きますか?」

「それもいいかもしれないね。・・・六識」

「はい」

「もしこの世界が終わっても、迎えにいくよ。カゾクだからね」

「・・・はい、必ず来て下さい。じゃないと俺、いろんなものを殺しはじめちゃいますから」

「わかってるよ」








さて、どうしようか。
いい加減本当に性に合わないというか、------悲しきかな、飽き飽きしてしまったというか。確かに穏やかな世界ではある。アメリカにいるであろう友人----エルマーという、ひどい変わり者というか、狂人----がこの姿を見たら、
「幸せそうだね、じゃあもっと笑おうか!」なんてことを言ってくるに違いない。「ハッピーエンドだね」とも。

まあもう、


呼び出してしまったから、手遅れなのだけれど-------------


「呼ンだか」

「うん、呼んだ。大事な話があってね。よくわからないだろうけど聞いてくれるかな」

「それは」


立ったまま、
「今までお前が隠してたことか」一方通行が私に問いかける。
「いいや、」

隠していた事はそれではない。

「ただの真実ってやつだよ」













一方通行は
、とが切り出す。月明かりだけの、屋根の上。月を背にして、が立っているために、表情ははっきりとは伺えないが----少し、笑っているのだけは、見えた。「今の生活が楽しい?」と。

「・・・あァ。それなりにな」


そっか。とは目を伏せる。そして、そのまま、

「もしかしたらこの世界が本当に本当の意味でハッピーエンドなのかもしれないね。何事も無く普通に当たり前にこうやって。あなたにはトラウマも罪も無い。でもそれじゃ解決しないことがあるんだよ、たくさんね」


続ける。

「なンの」

話をしているんだ。

一方通行は、たまらず、に近づいて、手を伸ばす。



「私も楽しいよ、この世界。でもね、だめなんだよ」



も、手を伸ばして、一方通行の腕を掴む。





「ここにはミサカちゃんがいないんだよ・・・!あんたが救わなきゃいけない子が、あんたを救わなきゃいけない子がいないんだよ!」





生まれてこなければよかったと。
何度、後悔したことか。
でも。
生まれないことで救われない人間がいる。それを私は、嫌というほど知っていた。
私は救えない。
私じゃ、元の世界の彼を救えない。

「自分勝手でごめんね、一方通行。・・・私はこの幸せを、終わりにしようと思うの。いい加減物語を進めなきゃね」



だってこんなの。

舞台上から逃げただけだ。勝手に降りて。目を背けただけ。




だから。
どうか。


「それがの決めたことなら、文句はねェよ」
状況なんて全然、わかンねェけど。


そういって一方通行は静かに、を抱き寄せる。




「終わりにして、フレデリカ。」



そう
    し て
 
     


    




どうか、彼を救ってください、"最後の希望"


なっが!
屈指の長さだよ!説明文だらけだった的な意味で!

六識さんはオリキャラです。お察しの通り、零崎一賊の子です。私好みのイケメン予定です。シスコンです。
なんかシリアスになりました あれ こんな筈じゃなかった気が       いつもどおりノープランでしたっけ