「やべェ、コーヒー切れた」
「あんたどんだけコーヒー好きなんだよ!コーヒー無いと死んじゃう病かよ!どこのウ○ップだ!」

今現在、夜中の11時である。
18歳未満が外をうろつくとおまわりが引っ張りに来る時間である。いい人に当たるとすごく優しく帰るように言ってくれて、ああそろそろ帰るかっていう気分になるのに性格悪い人に当たるとまじで「おうちかえる?それとも警察いく?」みたいな超脅し二択ぶつけてくるから腹立、あいやなんでもないです。
とりあえず。
そんな時間にもかかわらず。
コイツは、一方通行は全力でカフェイン摂取を止めないのである。寝ろよ。


「一通さんどんだけ睡眠時間削りたいんだよ昔のトラウマ的な悪夢見るから寝たくないとでも言うのですか?」
「・・・」

やばい
黙りやがった。えっ、まじですか?これまさかあの"妹達"のトラウマとかそういう?と思って心配気に一方通行を見ていたら

「別に見てねェよ・・・ッつーか、お前のが見てンだろ」


予想外の返答がかえってきた。
気づいてたのか。
カフェインで遅寝になってる分、遅起きだったと思ったらそんなこともなかったのか。

まああれですよね。
いろんな世界うろついてると、いろんな経験とか思い出が出来ると同時に、いろんな悲劇が起きるわけで。
それが夢に現れて・・・うん、まあ、そういうこと、だ。


「って私のなんてどうでもいいんだよじゃあなんではやく寝ないんだよ」

「別にカフェイン採ってても寝れンだよ俺は。・・・オイ、、コンビニ付き合え」

「えっちょっ、私も?」

「当然だ」













「夜の公園ってよォ」

「はい」

「怖ェよなァ」

「そうですねえ」

「・・・お前もうちょっと怖がれよ」
「だって怖がってたら怪しい人とか通り魔が出てきたときに対応できないじゃないですか」
「・・・・」

そっちかよ。そう思いながら一方通行がを見れば、彼女は両手をポケットに突っ込んだまま歩いている。ハンドインポケット。急な事態に対応できないだろう・・・と見せかけて、絶対コイツ、ナイフ握ってる。一方通行はため息をつく。
「なにため息ついてんの?」が見上げてくる。純粋な目。なるほど、殺人鬼と名乗る人間の中にはこういう人間もいるのかと。「早く行くぞ」と返して少し歩を早めてやれば、は何も言わずに、そのペースについてくる。
あァ本当、カフェインよりもよっぽどコイツのほうが、中毒性がある。







「学校だな。あァそういえば結構アレな噂あるよな、ここ」
「・・・」
「どうしたンだよ」
「・・・」
?」
「・・・」

学校の敷地前に来た途端、すたすたすた、と早足で通り抜けようとするの腕をがっしりと掴めば
、「ひいっ!なななにするんですかっ!」相当焦った声が返ってくる。なるほど。こいつ怖がってる。
「・・・人間は通り魔は怖くねェくせに幽霊は怖いッてのか」
「そうですよ!悪い!?」
即答である。
これまでにないほど即答である。珍しい。これほど焦ったなど、めったに見れるものではない。
調子に乗って後ろから抱き付いてみれば、
「ひぎゃあっ!」という可愛くない叫びが帰ってくる。普段ならここは「え?一通さんから抱きついてくるなんて珍しい。明日は大雨かな?」とか言ってくるところが、珍しい。実に珍しい。
一方通行がそんなことを考えている間、はお経を唱え始めていた。
「アー・・・俺だッての。分かるかオイ」「ひいいっ」

気づいてねぇ。こいつまじ気づいてねぇ。そう思ってため息をつくと、がいきなり、何かを決心したように。くるりと首だけまわしてこちらを見て。


「出澄、理澄、いい加減一通さんから離れないと狐さんにいいつけるよ」


・・・俺から?
そういわれた瞬間、何故か両肩が軽くなった。












「荷物持ちかよ」
「箱買えッつったのお前だろォが。それで荷物増えてンだよ」
「箱のほうがお得じゃないの。何回も行かなくて済むし」
「言いだしたヤツが持てよ。重いンだぞこの箱」
「一通さんがもっと筋肉と体力をつけるべきなんだよ」


まあいいや、疲れたなら休憩してこうか。この程度で明日筋肉痛ですなんていわれてもこまるんだよ。
そう言っては公園のベンチに腰掛ける。
「うおっつめたっ!」なるほど、座ってみると確かに冷たい。ひんやりというよりも、じわじわと冷たさが伝わってくる。春先とはいえ、夜は冷え込む。コーヒーの箱は隅に置いて、一方通行はまぶしいほどの光を放つ自販機へと足を伸ばす。

「ほらよ」
「え、またコーヒー?」
「・・・」
「・・・わーいありがとうあったかい!」
「おう」





「なァ
「ん?」
「一口よこせ」
「え、これ相当甘いけど。」

珍しいな、一方通行が甘いのを飲もうとするなんて。普段は私がコーヒー飲むときに砂糖入れてるのをみて「ハッ」とか鼻で笑ってるくせに。(知ってるんだからな、知ってるんだからな!)


「いィからよこせ」


渋々渡すと、一方通行は窺うように口をつけて、一口だけ口に含む。しかしすぐさま表情が曇る。なにこの飲み物、とでも言いたげな顔だ。
私は苦笑しながら

「だから」

言ったでしょ、と、言うつもりだった。でもうまくいかなかった。それはなぜか。そんなの、みれば、すぐわかる


「っ」


口の中になまぬるくなった甘い液体が入ってくる。なんとか飲み干したかと思えば一方通行が私を引き寄せて、口内を荒らすから私は苦しくなって一方通行を押し返そうとするけど、いきなりだったから驚きとか呼吸困難でいろんなもので頭の中がごちゃごちゃになって、なんか涙が出て、結果的に言うと、力が入らなくて、私は本当にこの人に甘いんだなあって思って、顔が熱くなる。さっきベンチが冷たいとか思ってたのが嘘みたいに。
ようやく舌が離れたので、呼吸を整えて睨んでやるけど、ぜんぜん利いてないな、とでもいうような表情で一方通行は私を見る。

「やっぱ甘ェな」


一方通行がどれのことを言っているのか、私には分からなかったけれど。

「そうだね」


気づけばもうとっくに日がかわってしまっていて、現在、深夜の1時半ほど。
明日は恐らく二人揃って寝坊して、打ち止めが
「ミサカはミサカは退屈すぎてしかもお腹が空きすぎて死んでしまいそうなの、と悲劇のヒロインみたいな表情で言ってみたり!」とかいって、膨れるんだろうね。




互依存症候群









廃墟はすきすぎてかけませんでした、無念。別にさんは幽霊完璧に見えちゃう子ではなくて、きっと一通さんの後ろにお知り合いが見えたんだよ・・・うん
打ち止めが巫女子ちゃんみたいになってきた。みたいなっ!