家にいたら変なチンピラみたいなさんしt・・・柄の悪い人たちが乗り込んでくることが既に5回。

外を歩けば隣の白髪頭が絡まれて、ついでに私も絡まれることが2回。

店の中で知らない人に道を開けられるのが4回。






「・・・・・・今までどんな生活してきたんですかあんた」
「てめェの知ることじゃねェだろ。嫌なら出て行け」
「(いや私も好きでいるんじゃないんだけどさ)」


一方通行と名乗る学園都市最強らしい彼に借りを返すために居座ってから、4日が経った。
ちなみに自分の家は私には無いので、寝るときはこの家で素泊まりである。
過去の経験からなんとなくどんなところでも寝られる(ような気がする)私には物凄い障害にはならなかった。
でも酷いと思う。
この男。
......うん。
季節が夏であるということが幸いした。
私は適当にソファをベッドにしている。
ちなみに家主(男)はベッドで寝ている。

あのチンピラとかよりは遥かに良い人だけども。
彼が善人かって言ったらまったくもってそんなことは


「ないんだよなあ・・・」
「あ?」
「独り言」
「なンだそりゃ。・・・・・・・つーかよォ、お前よくここにいるよなァ」
「あれ?最初に言ったじゃん。借りはちゃんと返しますって」
「言ったけどよ」

普通こんな家で5日間いられるかよ。しかも女が。
一方通行はため息混じりに言う。

「そりゃあたし普通じゃないし」
「それは知ってる」
「即答された・・・」
「・・・どう言ったら満足すンだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・さあ?」
「そういうの俺に任せンなよ・・・」
「ですよねー」
「てめェも肯定すンなよ」

はいはい、と適当に流して、は一方通行が普段使っている布団をベランダに運ぶ。
今日は良い天気だ。
絶好の掃除日和。



-----------何かの冗談みたいだ、と一方通行は思う。
こいつが。
布団を楽しげに干そうとするこいつが。
毎日のように訪ねて来る不良たちを片っ端から伸した上で「もう二度とするな」というような警告までしていることが。
そのうち一度は「こいつ殺してもいい?」というようなことを一方通行に尋ねてきたということが。

そのときの風景をなんとなく思い出して、一方通行はため息をつく。


『えっとさあ邪魔なんだけど 私買い物行きたいんだけど。あとこの部屋を荒らすっていうなら私も今この部屋に借り暮らしのアリエンティさせてもらってるわけで荒らされると大変困るんだけど』
『あぁ何言ってんだこいつ頭おかしいんじゃねーの』
『類は友を呼ぶってことだろ』
『・・・おかしいのはそっちでしょ。人の部屋荒らすのを一般的に考えてる時点で普通じゃないね。しかも二人で来るなんて、一人じゃたたかえませーんとでも言いたいのかな』
『言いやがったなこのクソガキ!』
『やんのかゴルァ!!』
『いい加減にしてくれるかな。さりげなく一方通行さん馬鹿にした発言を聞かなかったわけじゃないんだ』
『んだてめぇ 一方通行さんが出る幕じゃありませーんってか?』



『そういうことだよ』





-------



『派手に暴れやがって・・・』
『・・・ねえ一通さんとどめ刺しちゃっていいかなこいつら』
『・・・捕まりたくねェならさすがにやめとけ』







「ぐあ」

一方通行がという人物について思考している間に、当のは、今日の夕飯はどうしようオムライス作ったしお好み焼き作ったし野菜炒め作ったし次はいったい何を作ればいいんだろうか冷蔵庫の中身はどんなだったかなあとか思いながら歩いていて、いい感じに本棚に激突する。




どさり、と書類の束が床に落ちた。


「あーあーああああー・・・・・・・・・・拾います」

そう言って、布団をものの数秒でベランダの手すりに干し終わり、すぐに戻ってきて、落ちた書類をしゃがみこんで拾い上げる。
クリップで留められた紙の束が数束と、クリアファイルが数枚。

「・・・・・・・なにこれ?」
「あァ?・・・・・・・俺の加担してる実験のデータだな。あンま見ンじゃねェよ」
「やだもう見ちゃったし」


そのままは、座ったままぺらりぺらりと捲ってナナメ読みを繰り返す。
一方通行も同じようにの前にあぐらをかいて座り込んで、それを眺める。

「ツリーダイアグラムって何よ日本語で話してよ」
「日本語だろォが」
「・・・じ、じゃあこっちは日本語じゃないでしょこのえっとメルト・・・ダウナー・・・?」
「日本人でしかも学園都市の通り名だ」
「・・・・・・・」

もういいです。
全然わかりません。
とでも言うようには書類を整頓しなおして、本棚に入れ直そうと踵を返し、


それを見て、一方通行が思い出したように呟く。

「・・・そォいやァ、研究員の中にお前と同じ苗字の人間がいたなァ」
「一方通行さん私の苗字知ってたんだ・・・今日一番の驚きなんですけど・・・」
「あァそいつァ、たしか、--------------」


一方通行がぼやくようにその名前を呟いた瞬間、が戻そうとしていた書類をと落とす。


「落としすぎだろお前その書類に恨みでもあンのかよ」

「アクセラさん」

「なんだァ?」

「その情報、マジ情報?」

「お前に嘘言ってなンになるンだよ」

「・・・・・・・・・・・あたし、その人探してるんだよねえ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「さ が し て る ん だ よ ね え」

「・・・オウ(嫌なやつ拾っちまった・・・!)」

「心の声駄々漏れだよ一通さん」



と言い。
はその場で一方通行に向き直って正座して。

「しばらくここにおいてもらえ・・・ませんか!」
「・・・」
「なんなら土下座しようか?」
「てめェ土下座をなんだと思って使ってやがンだ・・・」
「譲歩手段」
「意味わかンねェよお前が譲歩すンのかよ上から目線じゃねェか!」
「まあとりあえずそういうことなんだけど」


もちろん三食作るよ家事するよ。と。
おねがいします。と。珍しく。

「・・・変な奴が毎日来ンぞ」
「うん知ってる」
「買い物行くたびに絡まれンぞ」
「知ってる知ってる」
「・・・・・・・・・・今日の夕飯、カレーだ。中辛な」
「おっけいおっけい。じゃあ、居座らせてもらうね」

「・・・・・・・・・・・・勝手にしろ」











この世界のはじまり

(偶然という名の必然)(奇跡という名の必然)





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「ブランチ続編の幸せな日常」かちょっと謎・・・だなこれ!ただの漫才ですね。喧嘩するほど仲が良いから一緒にいられるということで・・・!